海外FXのスプレッドは広い?
国内のFX業者のみの口座を持っている方が、いざ海外FXブローカーでの口座開設を検討してみた際、そのスプレッドは広いと感じたのではないでしょうか。
提供するレバレッジの高さやゼロカット方針、多彩なボーナスなどの海外FXブローカーに独自なサービスを勘案すると、「やはりの海外FXのほうが魅力的だ」という結論になるとは思いますが、「スプレッドが広い」ということを気にしたままでは精神衛生上もよくありませんし、取引コストがスプレッドによってどれくらいかかっているのかという着眼点をそのままにしておくべきではありません。
昨今の海外FX会社では、非常に狭いスプレッドを提供するサービスや狭いスプレッド専用の口座がラインナップされています。
以下のサイトでもわかるように、海外FXのスプレッドでも国内並みに狭いスプレッドで提供している会社がたくさんあります。
ここでは、取引スタイルごとにスプレッドサイズをどう意識するべきか、さらにスプレッドを日本円に換算したうえでわかるコスト感覚を提示し、さいごにスプレッドが狭い会社・ブローカーを実際にピックアップしながら現在のスプレッド事情を確認していきます。
取引スタイルごとに考えたいスプレッドの広さ
スプレッドの広さは、取引の損益にコストとしての影響を与えます。
取引1回あたりのスプレッドは基本的に変化しませんが、コストとしては「取引の回数」と「1回あたりの取引のボリューム」に比例して大きくなっていきます。
取引のスタイル別に、低スプレッド口座をお勧めするケース、スタンダード口座と比べてそれほど意識しなくてもよいケース、そしてあえてスタンダード口座を利用するケースに分けてご説明をします。
まず、低スプレッド、ゼロスプレッド口座での取引をお勧めできるのは、スキャルピングなどの細かい利幅を狙って一日に何度もポジションを構築・決済していく積極的な取引スタイルを採用しているケースです。
スキャルピングトレードでは、日本の日中だけの時間に限っても10回から50回の取引回数になることもあり、先に触れたとおり、スプレッドのトータルのコストはその回数に比例して増えていきます。
1回に200円のスプレッドを課せられているとして、1日に20回のトレードをしたとすると、1日のコストは4,000円。
これを1か月の平日20日間毎日行ったとすると、月あたり80,000円ものコストとなり、損益に与える影響は小さくありません。
低スプレッド、ゼロスプレッドの口座は取引に手数料こそかかりますが、1回のコストを50円でも減らすことができれば、収支は大きく改善します。
ですから、1日に複数回の売買を繰り返す取引スタイルでは、狭いスプレッドの会社や口座は必須の参加条件ともいえます。
逆に、取引回数がそこまで多くならない、スイングトレードや長期トレードのようなスタイルで取引をしていくにあたっては、スプレッドの累積コストはそこまで大きなものとはなりません。
もちろん、スプレッドは小さいほど恩恵は大きくなるものですが、標準の口座に限定されたボーナスやサービスを総合的に考えて、狭いスプレッド口座と比較・選択する余地がある取引スタイルといえます。
低スプレッドやゼロスプレッドの口座は、EA(エキスパートアドバイザー)と呼ばれる自動売買ツールが使えないことがほとんどです。
また、取引に使えるボーナスの対象外となっていることも多く、システムツールを使った取引スタイルやボーナスをどうしても利用したいという場合ではスタンダード口座のみが候補となるでしょう。
狭いスプレッドの会社・口座を使うことの恩恵
スプレッドとは実際にはどれくらいの額なのか、スタンダードな口座と比較して、低スプレッド口座はコストにどれくらいの恩恵があるのかを日本円に換算して具体的に把握してみます。
多彩な取扱商品で人気の海外FXブローカーである『AXIORY(アキシオリー社)』を例に取り上げてみると、同社のスタンダード口座におけるユーロ/米ドル(ユーロドル)のスプレッドは2.4pipsとあります。
標準的な1万通貨を取引するにあたってのコストは2.4pips=2.4ユーロとなり、現在の1ユーロ=約128円で日本円換算すると、約300円となります。
AXIORYの低スプレッド口座である『ナノ口座』では、ユーロドルのスプレッドは1.4pipsと示されており、スタンダード口座よりも1pipsも狭いスプレッドとなっています。
往復の手数料は0.6ドル(片道0.3ドル)=約70円で固定(日本円換算額はドル円のレートで変化)ですので、取引手数料分を勘案しても取引1回あたり50円近くも安くなる計算です。
回数が多めの取引スタイルでは、この狭いスプレッドによる恩恵の積み重ねがかなり重要であることがおわかりいただけたと思います。
スプレッドが狭い口座の具体例
AXIORYのナノ口座ほかにも、狭いスプレッドに特化した口座を選択できる会社はあります。
海外ブローカーでは日本人にも利用者数の多い、XM treading社(XM)には『Zero口座』があります。
XMのZero口座は、スプレッドがユーロドルの取引で0.1pipsと小さい反面、取引手数料が1万通貨単位当たり片道0.5ドル(往復1ドル)固定となっています。
先にご紹介したAXIORYの手数料が往復で0.6ドルでしたから、XMの往復1ドルの取引手数料は他社と比較して安いとはいえない水準かもしれません。
XMは57通貨ペアと取り扱い通貨が豊富なので、自分の取引したいペアがXMでしか見つからないという方は口座の開設を検討してみるといいかもしれません。
手数料無料の低スプレッド口座を提供しているGEMFOREX(ゲムフォレックス/ゲム)社という会社もあります。
ゲムの『ノースプレッド口座』は、低スプレッド口座でありながら手数料は無料となっています。
実際のスプレッドは、ユーロドルで0.3pipsとなっており、スキャルピングを用いるトレーダーには有力な選択肢となるかもしれません。
しかし、ゲムのノースプレッド口座は初回入金額が30万円からとなっており、少額から始めたいユーザーや初心者ユーザーにとっては証拠金のハードルが少し高く設定されています。
また、取り扱う通貨ペアも31種類とあまり多くはないため、ゲムで取引できる通貨ペアには制約を感じる方もいるかもしれません。
さいごに
スプレッドが広く、スキャルピングには不向きと思われた海外FX会社にもスプレッドを狭く抑えた口座があり、使い方やトレードスタイル次第では、十分に対応が可能であることがわかりました。
取引1回あたりのスプレッドは少額なため、差益または差損の額に占める割合が小さいことから、取引をクローズする段階では忘れていることもほとんどです。
しかし、スプレッドは利益を出せたトレードからも損に終わったトレードからも確実に発生しているコストで、FXを続けていく限りは常に課題として存在していることを忘れてはいけません。
あなたの取引は1回いくらのコストがかかっているのか、そして月間や年間トータルだとどれほどの金額になる見込みなのか、スプレッドが狭い会社や口座を選択することでいくら節約できるのかをぜひ確かめてみてください。
スプレッドの狭い会社を選択することは、チャートの上下を予想するよりも勝ち負けを左右するかもしれない、大きなファクターとなっているかもしれません。